「モチベーション」と「やる気」。
どちらも普段の生活の中でよく使われ、似た意味を持つ言葉ですよね。
やる気の英語訳も「motivation(モチベーション)」なので一見同じ意味に思えますが、実は「モチベーション」と「やる気」の意味には違いがあります。
・モチベーションとやる気の違いが分かる
・強いモチベーションを発見して行動力を高める3ステップが分かる
・やる気を上げる4つの方法がわかる
<この記事は約6分で読める!>
第1章:モチベーションとやる気の違いとは?
モチベーションとやる気の違いを知っておくと、自分の行動力アップにすごく役立ちます。
モチベーションの意味
モチベーションの意味は、厳密に分けると3パターンあります。
- 広い意味
…(何かをする)意欲、やる気 - 狭い意味
…やる気や意欲の源となる動機、行動する理由、要因 - 心理学的な意味
…動機づけ(※行動を喚起・維持し、目標に方向を定めて行動をまとめていく過程・心理的な機能のこと)
つまり、シンプルに「モチベーション=やる気」という意味もありますが、より狭い意味としてはやる気や意欲を呼び起こす動機そのものを指す場合もあります。
また、心理学的な意味としては、モチベーションには「動機づけ」という意味もあります。
動機づけとは、①目標の達成に向かって動機を見出してやる気を上げる、②方向性を目標に定めて行動をまとめる、③やる気・意欲と行動を維持していく。この3つを含む過程や機能のことを動機づけと言います。
実際に日常生活で使われるのは「モチベーション=やる気」としての意味合いが多いですが、一方で動機や動機づけのことを指すこともあるので、3パターンの意味を覚えておいて損はないと思います。
ちなみに「動機づけ」という意味でのモチベーションは、ざっくり分けて2種類あると言われています。
- 外発的モチベーション
- 内発的モチベーション
外発的モチベーションは、お金などの物理的な報酬、名誉や権力、肉体的な魅力などが該当します。
外発的モチベーションは、行動の「結果」に焦点を合わせたモチベーションです。
内発的モチベーションは、満足できる人間関係を持つこと、個人的な成長、社会への貢献、自律性の欲求(自分の意思で選択したいという欲求)、有能感への欲求(達成に向けてベストを尽くすときに感じる有能さへの欲求)などが該当します。
内発的モチベーションは、行動の結果が報酬になるのではなく、行動の過程にある楽しさや充実感が報酬になります。
つまり、行動すること自体がやる気の源になるのが特徴です。
人間のモチベーション、動機づけに関する研究の権威である心理学者のエドワード・L・デシ先生は、「外的な結果に依存する外発的モチベーションは精神的健康が低くなる一方で、行動そのものに満足を感じる内発的モチベーションは精神的健康とプラスに関連している」という調査結果を著書の中で紹介しています。
内発的モチベーションの方がより人間の根源的な欲求に近くより良い満足度が得られるため、自分の内発的モチベーションをうまく活用できるかどうか?がめちゃくちゃ重要なんですね。
やる気の意味
「やる気」とは、物事に積極的に取り組もうとする気持ち、自分から進んで何かをしようとする気持ちのこと。
やる「気」と言うだけあって、やる気が上がる・下がる、やる気が出る・出ないといったような精神的なエネルギーのように表現されることが多いですね。
モチベーションとやる気の違い
モチベーションとやる気の意味を踏まえたうえで、この2つの違いをまとめますね。
- モチベーション
…やる気や意欲の源となる動機。もしくは、動機が発生して行動が目標に向かう過程 - やる気
…自分から進んで物事に取り組もうとする気持ち
こういった違いがあります。
簡単に言えば、モチベーションは行動する理由・行動に至る過程であるのに対して、やる気はモチベーションによって生まれる気力って感じですかね。
なので自分の行動力を上げるのであれば、やる気をどう上げるか?よりも、どんなモチベーションを見つけるか?の方が実は重要になってくるんですね。
「意欲」との違いは?
基本的には「やる気=意欲」なので、意味としては「やる気」と同じく「自分から進んで物事に取り組もうとする気持ち」になります。
日常生活で使う場合も、ほぼやる気と意欲は同じような使い方になりますね。
特にモチベーションは複数の意味を含んでいるので、どういう文脈で使われているか?には注意ですね。
第2章:強いモチベーションを発見して行動力を高める3ステップ
ざっくり言うと以下の3ステップになります。
- 人生の価値を見つける
- 自分の内発的モチベーションを知る
- 内発的モチベーションと行動をリンクさせる
1ステップずつ解説しますね。
ステップ①:人生の価値を見つける
人生の「価値」とは、簡単に言えば「生きがい」みたいなものですね。
生きがいがあるかないか?その生きがいと普段どれだけ接しているか?が精神的な健康や幸福度に影響すると言われています。
何に価値を置いているかは人によってまるで違います。
- 自分らしさ、自分の個性
- 人
- 物
- 仕事
- 行動
- 社会的な役割
- スキル、能力
- 娯楽
- 知識
- 感情
- 生き方
- 時間の使い方
- 考え方
などなど様々な形がありますし、優先順位も人によって変わってきます。
ただ、この価値を見つけるのって結構難しいので注意です…。一朝一夕では見つからないかもしれません。
ひとまず先ほどリストアップした13個の価値の形を参考に、「自分はどういうものに大きな価値を感じるか?」と自問しつつ探していくのがおすすめです。
カチッとした答えが見つからなくても、こういう風に生きたいなーこういうことをして生活したいなーこういうことをしているときが自分らしいなーってざっくりとした方向性だけでも十分OKです。
ステップ②:自分の内発的モチベーションを知る
行動の「結果」をモチベーションとするものではなく、行動の「過程」そのものがモチベーションになるのが内発的モチベーションの特徴です。
例えばゲームって、ゲームすること自体が楽しくて面白いうえに、モノによっては有能感や達成感を感じるゲームもありますよね。
僕を含めて多くの人がゲームに夢中になるのも、実はその裏で内発的モチベーションが働いているから…という背景も1つあると思います。
「何時間ゲームしたら◯◯円」って仕事みたいにわざわざ報酬を設定してモチベーションを高める必要はありません。そもそもゲームすること自体が楽しく面白く充実感を味わえるので、それがもう報酬なんです。
逆に言えば、この内発的モチベーションを他のことにも応用できれば、行動すること自体が楽しく面白いものになり、わざわざ「やる気を上げるテクニック」を使う必要もなくなっちゃうわけです。
じゃあどうやって内発的モチベーションを他の物事にも応用していけばいいのか?なんですが、こればっかりは自分の今までを振り返って内発的モチベーションのツボを探していくしかないのが現状です。
例えば僕の場合、体を動かして何かをするよりも頭を使って色々工夫していくことにモチベーションを感じます。
誰かのルールや指示に従って動くよりも、自分でルールを決めて自分の意思で行動する方がモチベーションが上がります。
工夫して今の生活をより良くしていくことにモチベーションがありますし、良いアイデアが浮かんだ時の気持ち良さも格別です。
こんな感じで、自分が何に対してモチベーションを感じるか?をある程度知っておくとモチベーションアップに役立つはずです。
お金や名誉といった「結果」に依存する外発的モチベーションではなく、行動すること自体にやりがいを感じるような内発的モチベーションを探してみてください。
ステップ①で見つけた人生の価値に基づく内発的モチベーションであれば、より効果的なモチベーションになると思います。
ステップ③:内発的モチベーションと行動をリンクさせる
これかなーって内発的モチベーションが見つかったら、あとはどうやってそれを行動とリンクさせるか?ですね。
仕事、勉強、家事、人間関係などなど…うまく進めたいけどなかなかモチベーションが上がらないってものは色々あると思います。
そんなときは、自分の内発的モチベーションと関連づけられないかを考えてみるのがおすすめです。
例えば僕は、社会人になってからしばらく生活習慣が乱れてぽっちゃり体型が続き、ダイエットをしようと色々取り組んではいたものの三日坊主でやめることが多かったんです。
どうしてもダイエットや運動へのモチベーションが続かなかったんですよね。
でも今ではダイエットに成功して細マッチョ…まではいかないものの、体型は細く若干筋肉質になってガラッと変わりました。今では運動が完全に習慣化しています。
これができたのも実は、内発的モチベーションの影響が大きくて、「健康を維持して運動を習慣にする=脳の機能が高まり仕事へのパフォーマンスも上がる」とうまく自分のモチベーションのツボを刺激できたのがきっかけです。
僕にとっては「脳の機能が高まり仕事へのパフォーマンスも上がる」っていうメリットはすごく魅力的で、これが良いモチベーションになったんですね。
こうやって自分の内発的モチベーションと関連づけると、行動している最中も「よしよし今まさに脳の機能が上がってるぞ~!これでもっと仕事がバリバリできるぞ~」と思えて楽しくなります(笑)
内発的モチベーションと行動をリンクさせるには少し工夫が必要ですが、これがうまくハマると良い感じに自分を動かすことができます。
第3章:やる気の上げ方4選
基本的には自分の動機になる強いモチベーションさえ見つかれば、自然とやる気も上がってくるとは思います、
が、プラスしてやる気を上げるテクニックも併用していくとより効果的です。
以下の4つのテクニックがやる気アップにおすすめ。
- 現実的に達成可能な難易度の目標を具体的に立てる
- 「なぜ?」を考えてやる気&意欲をアップ
- とりあえず体を動かす
- 休んでエネルギー回復
1つずつ詳細を解説しますね。
方法①:現実的に達成可能な難易度の目標を具体的に立てる
どういう目標を立てるか?によってやる気はかなり大きく変わります。
目標達成などの研究の第一人者である社会心理学者のハイディ・グラント・ハルバーソン博士は、現実的に達成できる難易度の目標を立てると「成功と満足感の好循環を作り出せる」とおっしゃっています。
現実的に達成できるレベルの挑戦しがいのある目標は、実は「やってやるぞ」という意欲と集中力を生み出します。
また、難しい目標ほど達成したときの充実感や満足感もそれだけ大きくなります。
そしてこの満足感がさらにやる気・意欲を生み出すことになり、プラスの好循環を作り出すことができるわけです。
もう1つポイントは目標が具体的であること。
人はあいまいなことに対してはどうしても行動するやる気が起きにくく、具体的である物事の方が行動しやすいという特徴があります。
なので現実的に達成可能な難易度の目標を具体的に立てることによって、やる気をグッと上げることができるんですね。
方法②:「なぜ?」を考えてやる気&意欲をアップ
なぜその行動をするのか?何のために行動するのか?という視点で考えると、行動したあとに得られるメリットをイメージしやすくなり、意欲や自制心、忍耐力が高まることが研究によって判明しています。
さっきの僕のダイエットの話でもまさにそうだったんですが、運動とか苦手なタイプの僕が運動を習慣化できたのは、「脳の機能が高まり仕事へのパフォーマンスも上がる」という行動する理由があったからです。
定期的にこの目的を思い出すおかげで、無事にダイエットに成功して運動を習慣化できました。
行動するやる気が出ない…と感じたときは、そもそもなぜその行動をするのか?目的と行動することによって得られるメリットを考えてみるのがおすすめです。
方法③:とりあえず体を動かす
手を付け始めるまではグズグズしてしまうけど、一度手を付け始めると意外と集中してサクサク物事に取り組めるようになる。
こういう経験ってありませんか?
僕らは「やる気があれば行動できる」と思いがちですが、実は逆に「行動すればやる気が出る」という特徴が人間にはあります。
この現象を専門用語では「作業興奮」と言います。
とりあえずまず小さな行動をすることによって自分のやる気スイッチを押し、そこから徐々にやる気が目覚めていく…。特に体を動かすことが効果的です。
やる気を上げたいときは、とりあえず軽く体を動かしてみる。
まずはウォーミングアップ的な軽い作業から手を付け始めて、やる気が目覚めてきてから本格的に仕事を始める。
こうやって取り組むと、やる気と行動力を上げることができます。
方法④:休んでエネルギー回復
ここまでの3つのテクニックはやる気を上げるプラスの方法ですが、4つ目の「休んでエネルギー回復」は、やる気を下げているマイナス要素を減らすことで本来のやる気を取り戻すための方法です。
日々の忙しさに追われて体が疲れ切っているとき、大きなストレスによって心が消耗しているとき。
そんなときにやる気を出そうと思っても、普通はなかなか難しいことが多いと思います。
もし心身が疲れ果てているのであれば、まずはエネルギーを回復させるのが先決です。
- 生活の中で睡眠の優先度を上げて睡眠時間を増やす
- 15分前後の昼寝を取り入れる
- 定期的に5分ほど休憩する(目を閉じて深呼吸する)
- スキマ時間に目を閉じて深呼吸する
こういった方法が心身の回復に役立つと思います。
どうしてもゆっくり休む時間がない場合は、スキマ時間に目を閉じて深呼吸するだけでもOK。
深呼吸するだけでも脳の緊張状態をほぐし十分なストレス対策になります。
【まとめ】モチベーションとやる気の違いが分かれば、行動力アップにつながる
- モチベーション
…やる気や意欲の源となる動機。もしくは、動機が発生して行動が目標に向かう過程 - やる気
…自分から進んで物事に取り組もうとする気持ち
モチベーションとやる気にはこういった違いがあります。
行動力を上げるのであれば、まず先立つのはモチベーションです。
やる気の源となるモチベーションがあれば、それだけでもやる気と行動力はグッと上がりますよー。