やめたいのにやめられない「悪い習慣」。
悪い習慣の厄介なところって、デメリットだらけだと分かっていてもやめられないこと。
しかも年単位で深く根付いてしまっている習慣であれば、習慣を変えるのはかなり難易度が高いんですよね…。
とはいえ、悪い習慣を断ち切る方法はちゃんとあります。

・悪い習慣がやめられない理由がわかる
・悪い習慣を断ち切る3つの方法が手に入る
<この記事は約6分で読める!>
第1章:悪い習慣の恐るべきデメリットとは?

まずは悪い習慣の弊害についてお話ししますね。
悪習慣には主に3つの恐るべきデメリットがあります。
悪い習慣の害①:時間をムダにする
ついついスマホを触ってしまう。いつの間にかYoutubeで2時間も動画を見てしまった。こういった経験は誰にでもあると思います。
試しにスマホの「スクリーンタイム」で何時間スマホを利用しているかチェックしてみてください。僕はゾッとしました…。
こういった時間をどんどん失っていく悪い習慣は、時間をムダにする分だけ人生で有効に使える時間がどんどん減っていきます。
もちろん一度失った時間は二度と取り戻すことはできません。
悪い習慣の害②:お金を失う
タバコ、お酒、パチンコなどのギャンブル…。
こういった悪い習慣は、年間で考えると恐ろしい金額が失われてしまいます。この悪い習慣がない人と比べれば雲泥の差になるでしょう。
こういった悪習慣はやめたいと思っていてもなかなかやめられない場合が多いので、時間が経つほどに失われていく金額も増えていくことに…。
悪い習慣の害③:心身の健康を損なう
悪い習慣としてよく挙がる、スマホのいじりすぎ、食べすぎ飲みすぎ、タバコ、ギャンブルなどは、基本的には心身に悪影響です。
害になることの方が多いでしょう。
悪い習慣のさらに厄介なところは、悪い習慣だと分かっていてもやめられないせいで「自分はダメな人間なんだ…」みたいなネガティブ思考が生まれやすく、自信の低下、自己嫌悪といったメンタルへのダメージにつながる場合がある点。
これも悪習慣が引き起こすヤバいデメリットですね。

悪習慣はその柱をボロボロにしかねないリスクがあるんですよね…。
第2章:悪い習慣がやめられない理由

問題は、こういった多くのデメリットがあると分かっていながらも「やめられない」ことです。
これが悪い習慣の怖いところですね。
ではなぜ悪い習慣がやめられないのか?と言うと、実は2つの理由がその背景にあります。
理由①:悪い習慣を「ご褒美」だと脳が認識している
ご存知の通り、人間には「慣れ」という機能が備わっています。
以前は難しいと感じたころが、今はスラスラできるようになるのもこの「慣れ」のおかげです。
人間はこの機能のおかげで、複雑で高度なことをいくつもできるわけです。
では人間がどうやって物事を習慣にしているのか?
受賞歴を数多く持つチャールズ・デュヒッグさんは著書『習慣の力』の中で、MITの研究者が発見した「習慣のメカニズム」を解説しています。
神経学的に習慣とは「きっかけ→ルーティーン→報酬」のループによって脳に定着したパターンと言われています1。
- きっかけ
(行動の引き金、行動を呼び起こすトリガー)
↓ - ルーティーン
(きっかけに反応して起こる習慣的な行動や思考)
↓ - 報酬
(行動の結果得られる報酬、ご褒美)
このループが繰り返されることによって脳に定着したパターンこそ「習慣」なんですね。
この習慣のループが脳内に形成されると、きっかけを感知しただけで報酬への欲求が強まり、自動的に行動を開始するようになります。
例えば、、、
- きっかけ
(仕事終わり、ストレスや疲れを感じている)
↓ - ルーティーン
(「こういう時はビールに限るな~」と感じる、そして生ビールを飲む)
↓ - 報酬
(生ビールの美味しさを感じる、ほろ酔いで良い気分になる、ストレスや疲れが解消されたような感じがする)
という習慣のループができているとしたら、「仕事終わり&ストレスや疲れを感じる」という条件が整った段階で、自動的に生ビールへの欲求が強まり、僕らを生ビールの元へと動かすようになっているわけです。
つまり悪い習慣も、この習慣のループが脳内に根付いていると考えられます。
そして、その悪い習慣を行うことで得られるものを「ご褒美」として認識してしまっているせいで、なかなか悪い習慣がやめられなくなっているんですね。
さっきの生ビールの例でいくと、生ビールの美味しさ、ほろ酔いの良い気分、ストレスや疲れが解消されたような感じになることが「心理的なご褒美」になっていると推測できます。
つまり脳は、良い習慣だろうが悪い習慣だろうが、気持ち良くなれるご褒美がゲットできればそれでいいんです。
脳の働きは強いので、僕らが意志の力で悪い習慣を断ち切ろうとしても勝負になりません。ゾウと綱引きするようなもんです。
これが悪い習慣がやめられない理由の1つですね。
理由②:悪い習慣が「ストレス解消法」として根付いている
もう1つ厄介なのは、悪い習慣が「ストレス解消法」として根付いている場合です。
さっきの習慣のメカニズム「きっかけ→ルーティーン→報酬」に当てはめていくと、「ストレスを感じる→悪い習慣→ストレス解消」って感じで自分の中で確立されていると、なかなか悪い習慣がやめられなくなります。
疲れたときにタバコを吸いたくなる、嫌なことがあった日はドカ食いやけ酒することが多い、仕事終わりについパチコン店に足が向く。
これも悪い習慣がストレス解消やリフレッシュの手段として根付いているのが原因として1つあります。

第3章:悪い習慣を断ち切る3つの方法

悪い習慣を断ち切るための方法を3つご紹介します。
方法①:習慣のループを特定して行動パターンを変える
悪い習慣は、意志の力で「よし今日からやめるぞ!」と意気込んでも断ち切ることはできません。
大切なのは、その悪い習慣がどういった習慣のループによって呼び起こされているのかを特定すること。
さっきの習慣のメカニズム「きっかけ→ルーティーン→報酬」にあなたの悪い習慣を当てはめて考えてみてください。
その悪い習慣の前には、行動の引き金となった「きっかけ」が必ずあります。
そして、その悪い習慣の後には、行動の結果得られる「報酬」があるはずです。
まずは「報酬」を特定してみましょう。
それをすることによってどんな報酬が得られますか?
- ストレスが解消される
- 気持ち良くなる
- 楽しい気分になる
- 嫌な現実を忘れられる
- 欲求が満たされる
などなど、その悪い習慣をすることによって得られるメリットを考えてみましょう。
もしかしたらいくつかのメリットがミックスされているかもしれません。
報酬が掴めたら、次は悪い習慣の引き金となる「きっかけ」を特定します。
習慣が開始されるきっかけは、ほぼ全て次の5つのカテゴリーのどれかに当てはめることができると言われています。
- 場所
(どこにいたか?) - 時間
(何時だったか?) - 心理状態
(どんな心理状態だった?) - 自分以外の人物
(誰かいたか?) - 直前の行動
(直前に何をしていた?)
この5つをチェックリストとして使って、きっかけを特定してみましょう。
これで、その悪い習慣のループ「きっかけ→ルーティーン→報酬」を特定できました。
ここで習慣のループを特定すれば、この後ご紹介する2つの方法もかなりやりやすくなります。
悪い習慣のループが特定できたら、「きっかけ→ルーティーン→報酬」のどれかを作り替える作業に取り組みます。
きっかけを変えることによって悪習慣の開始を妨害することもできますし、悪習慣の行動自体をまったく別の行動に置き換えるのも効果的なやり方です。
もしくは報酬の認識を変えて「長期的に考えるとデメリットの方が大きい」と考え直すのもアリです。
こうやって習慣のループを作り替えていけば、自分に根付いた悪習慣のパターンを崩すことができます。
方法②:悪い習慣の前にある行動を変える
悪い習慣を開始させる「きっかけ」を変えようっていうのが2つ目の方法です。
ポイントは、以下の2つです。
- その悪い習慣を開始する手間を増やしてめんどくさくする
- 「きっかけ」を遠ざける
良い習慣を身につけるコツは、できるだけその行動を簡単にすること。
逆に悪い習慣を断ち切るコツは、できるだけその行動をめんどくさくすることです。
例えば、スマホをダイヤルロック式の箱に入れて手軽に使えないようするとか、冷蔵庫にある缶ビールをガムテームでぐるぐる巻きにしてすぐ飲めないようにする、タバコをわざと一度トイレに落としてみるとか、アイデア次第で色々工夫できますね。
もう1つのやり方としては、「きっかけ」を遠ざけるのも有効な手段です。
スマホを別の部屋に置いておく、そもそもお菓子を買わない、そもそもタバコを買わない、お酒を買わないし居酒屋にも行かない。
結局のところ、スマホもタバコもお菓子もお酒も、手が届く身近にそれがあることが「きっかけ」になっているので、それ自体を遠ざけてしまえば悪い習慣も起動しにくくなります。
こうやって悪い習慣の前にある行動を変えていけば、悪い習慣のループを良い感じに邪魔できますね。
方法③:悪い習慣の行動を「別の行動」に置き換える
3つ目の方法は、「きっかけ→ルーティーン→報酬」の真ん中、ルーティーンを別の行動に置き換えるってやり方です。
例えば、お菓子を食べる習慣を断ち切りたいとしましょう。
仮に「仕事の疲れやストレスを感じた→お菓子を食べる→気分が良くなる」という習慣のループができあがっているのであれば、仕事の疲れやストレスを感じたらお菓子を食べるのではなく、フルーツを食べるに置き換えてみる。ナッツを食べるに置き換えてみる。
こんな風に、悪い習慣のルーティーン部分を、似てはいるけど良い行動に置き換えてみましょう。
これができれば、悪い習慣を断ち切りながら良い習慣を身につけることができます。一石二鳥ですね。

この技術は「良い習慣」を身につける場合にも応用できるので、習得できればかなり美味しいスキルなんですね。
「良い習慣は人生を変える」と言われることもありますが、じゃあ具体的にどんな習慣が「良い習慣」なの?って点は前から気になってたんですよね。 良い機会なので今回は「これを続けていったら人生変わる!」っていう良い習慣を33個リストアップしました。[…]
第4章:悪い習慣の例【こんな悪習慣に注意】

では最後に、悪い習慣の具体例を挙げつつ、それぞれの悪習慣のヤバいデメリットをお話ししておきます…。
例①:タバコ
喫煙習慣は、がん、脳卒中、心疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、2型糖尿病など多くの病気の原因になり、喫煙を始める年齢が若いほど病気のリスクを上げ、総死亡率も高くなることが分かっています2。
タバコが問題なのは、そういった悪影響を受けるのが自分だけじゃ済まないこと。
「受動喫煙」という言葉もあるように、誰か他の人に健康被害を与える意味でもヤバいんですよね。
厚生労働省が公表している情報によれば、日本では年間約1万5000人が受動喫煙で死亡している3そう…。子どもや妊婦さんにも深刻な悪影響があるそうです。
悪習慣ランキングなるものがあるとしたら、喫煙はトップクラスの悪習慣でしょうね…。
例②:飲酒
最近の日本では飲酒文化が少し控えめになりつつある印象ですが、とはいえ代表的な悪い習慣の1つですよね。
適度のお酒は生活の潤いになりますが、一方でアルコールの影響は世界規模で問題になっています。
世界保健機関(WHO)が公表しているデータによれば、アルコールを起因とする死者数は全世界で毎年300万人以上にも上るそう4。
その他にも、病気の原因になる、経済的損失が大きい、飲酒に伴う事故のリスクが高いなど、様々なデメリットがあります。
例③:パチンコなどのギャンブル
パチンコなどのギャンブルの依存性の高さは言わずもがな。軽い遊びのつもりがドハマリにして抜け出せないケースもあります。
でもその大きなデメリットはやっぱり金銭面での損失が大きくなってしまうこと。
基本的にギャンブルには還元率というものがあります。投資したうち、いくら返ってくるか?って割合ですね。
例えば、100円を使って90円を戻ってくるとしたら還元率は90%になります。
ギャンブルの種類によってこの還元率は変わってきますが、まず長期的に見て還元率が100%を超えることはないと考えて間違いないでしょう。
実際、調べた限りでは宝くじの還元率が50%ほど(買っても半分の額しか返ってこない確率が高い)、競馬で70%前後、パチンコ・パチスロは80~90%ほどでした。
その理由はシンプルでして、還元率が100%を超えてしまったら胴元側、つまりパチンコ店などのギャンブルを提供する側が儲からなくなるからです。
パチンコ店を運営するのも、宝くじを販売するのも、競馬場を管理するのも、すべて経費がかかります。
土地の固定費や人件費など多くのお金が必要になります。
じゃあそのお金をどこから捻出するのかというと、もちろんお客さんのお金からです。
売上から経費を差し引いたうえで利益を残すように運営していかなければ、ビジネスとして成り立ちませんし、運営側も存続できません。
つまり結局のところ、ギャンブルは基本的にお客さん側が儲からない確率の方が高いわけです。
加えて、パチンコやパチスロなどは拘束時間がとても長いのが普通です。時間的な損失も大きい。
朝から晩までひたすら打ち続けても10万円近く負けるなんてザラにありますからね。
基本的には近づかないのが吉と言えます。
例④:長時間のスマホやSNS
スマホやSNSが時間を吸い尽くす「タイムヴァンパイア」であることは多くの人が実感していることでしょう。
でもデメリットはそれだけではありません。
例えば、スマホの使用時間が長い人ほど社会不安のレベルが高い、自宅でスマホを使い続ける人は仕事のストレスが回復しないといった研究結果もあるよう5なので、メンタル面への悪影響も実はデメリットなんですよね…。
例⑤:不健康な食生活
加工食品、ジャンクフード、添加物モリモリの炭酸飲料、高カロリーで脂っこいメニュー。
こうした不健康な食生活も、根深い習慣になっている場合が多いのでかなり厄介なんですね。
健康への悪影響はもちろんですが、特に加工食品は、食欲を増進させる効果がある6って科学的なデータも出ているのが怖いところ。
意識的に食生活を変えていかないと、加工食品の食欲増進効果のせいで勝手に食べすぎてしまう怖さがあるわけです。
そうやってまた手軽に食べれて美味しい加工食品に手を出してしまうと、健康への悪影響+食欲増進の悪循環に…。

誰もがやりがちだけど実はヤバい習慣ってけっこうありますよね。 僕もいくつか思い当たるものがあるので耳が痛いんですが、基本的にそういうNGなやめたほうがいい習慣って生活や人生全体で考えるとやっぱりデメリットの方が大きい…。 というわけ今回は、[…]
【まとめ】悪い習慣を断ち切るには行動を変えるしかない
悪循環を断ち切るには、人間の習慣のメカニズム「きっかけ→ルーティーン→報酬」に沿って行動パターンを変えていくのがおすすめのやり方です。
- 習慣のループを特定して行動パターンを変える
- 悪い習慣の前にある行動を変える
- 悪い習慣の行動を別の行動に置き換える
習慣のメカニズムに基づいたこの3つの方法を使えば、悪い習慣の連鎖を断ち切りやすくなると思います。

自分と人生を悪習慣から解放するために、ぜひこの方法に取り組んでみてくださいね。
「継続は力なり」とよく言われるように、ダイエットにしても運動にしても勉強にしても、欲しい結果を得るためには結局「習慣化できるかどうか?」が大きな分かれ道になります。 日本を代表する伝説的なプロ野球選手だったイチローさんは、「準備の鬼」「習慣[…]
参考文献
- Duhigg ,Charles.”第1章 「習慣」のメカニズム”.『習慣の力
』.渡会圭子(訳). 講談社, 2013, p.39-p.42.
- 『喫煙による健康影響』. e-ヘルスネット.厚生労働省.
- 『喫煙による健康影響』. e-ヘルスネット.厚生労働省.
- 『食品安全関係情報詳細』. 食品安全委員会.内閣府.
- 鈴木祐.”第5章 ストレス”.『最高の体調
』.クロスメディア・パブリッシング, 2018, p.168-p.169.
- 『Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain』. Cell Metabolism.