ストレス社会と言われる現代。生きるのがめんどくさいと感じて、今の生活に息苦しさを感じている人も多いと思います。
今回はそんなお悩みを抱えた方のために、生きるのがめんどくさい状態から抜け出すための方法を3つご紹介します。
・生きるのがめんどくさくなる原因がわかる
・生きるのがめんどくさいを解消する方法が見つかる
<この記事は約5分で読める!>
第1章:なぜ生きるのがめんどくさいのか?人生を面倒にする原因6つ
人生って面倒…生きるのがめんどくさい…。僕らにそう感じさせる原因として、この6つが考えられます。
この中に原因があるか?いくつ当てはまるか?チェックしてみてください。
原因①:苦しみを与えてくる明確な「敵」がいる
この「敵」とは、周囲の人間のことです。
自分に苦しみや痛みを与えてくる職場の上司・先輩、友達のフリをして自分を攻撃してくる厄介な友人などなど。
こういった明確な敵が周囲にいると、常にストレスを感じる状態になってしまいます。
常にその敵を意識して緊張状態になり、心身を消耗。その結果、生活する意欲がジワジワと失われてしまう…。
もしあなたの周囲に苦しみを与えてくる「敵」がいるなら、この悪いパターンにはまってしまっている可能性があるので注意。
原因②:「味方がいない」と孤独感を感じている
自分には味方がいないんだ…と孤独感を感じるのも1つ危険な兆候です。
孤独感のヤバさは科学的にも示唆されていまして、メンタルや幸福度に与えるダメージがかなり大きいそう。
孤独に悩むほどメンタルが悪化しやすくなり、全身に炎症を引き起こし早期死亡率を高めちゃうっていう話もあるんです1。
孤独感を感じていて「何のために生きてるんだろ…」って場合は、少しでも孤独感を和らげる対策が必要ですね…。
原因③:心身が疲れ切っている
心身が疲れ切っているとき、なんとなく頭がうまく回らない…って感じた経験はありませんか?
心身の疲労、睡眠不足、空腹といった心身の不調は、脳の働きを低下させることがわかっています。
脳科学の権威である加藤俊徳博士は、めんどくさいが発生する要因の1つとして「脳の処理能力が低下すること」を挙げています2。
つまり、脳の処理能力が低下すると、たいして難しくないことでも難しいと感じてしまい、脳が「こんなの僕には無理だよ!もうそんな余裕ないよ!」と反応してしまうわけです。
その結果、様々なことが「めんどくさい…」と感じやすくなっちゃうんですね。
日々の仕事や人間関係などで疲れ切っている、長い間ストレスをずっと感じている、睡眠不足が続いている。今こういった状態の方は、心身の不調が「生きるのがめんどくさい」を発生させているのかも…。
原因④:他人と自分を比較してしまっている
他人と自分を比較してしまう考え方も、生きるのがめんどくさいを生む原因になる場合があります。
現代は、スマホとSNSが当たり前の日常になり、誰もが簡単に他人と繋がれるようになりました。
それによって交友関係が広がる良い面もありますが、一方で他人の良い情報も悪い情報もすぐ手に入りやすくなっているため、簡単に他人と自分を比べられる時代になっている面もあります。
最新の研究では、SNSを利用して他人と自分を比較すると幸福感や自己評価の低下、孤独感の増加などにも繋がり、うつ病になりやすい傾向があると報告されています3。
他人と比較しやすくなっている現代は、より一層こうしたデメリットを受けやすくなっているとも言えますね。
生きるのがめんどくさい…と感じのも、この他人と比較する考え方が悪影響を及ぼしているかもしれません。
原因⑤:めんどくさい毎日の繰り返しで楽しみがない
同じ毎日の繰り返しでつまらない。退屈であまり楽しみがないと感じている場合も要注意ですね。
人間は良くも悪くも慣れる生き物なので、最初は新鮮でワクワクするようなことでも、繰り返すうちにどうしても飽きてしまいます。
この「飽き」「マンネリ感」が生活全体にまで広がってしまうと、「自分の人生ってつまんないな」「何のために生きてるんだろ」とネガティブな方向に考えが傾きがちに…。
新しい変化がないと、退屈によって人生や生きることに対する意味感が薄れてきます。
原因⑥:無気力状態に陥っている
人間は「何をやっても無駄なんだ、どうせ変わらない」と感じるような環境下に長期間置かれると、次第にその状況を抜け出そうとする努力すら行わなくなってしまうことがあります。
アメリカの心理学者、マーティン・セリグマン博士は、この現象を「学習性無力感」と名付けました。
この学習性無力感に陥る原因は人それぞれ違いますが、長期間にわたるストレス環境(いじめ、モラハラなどの人格否定)、失敗や結果が出ないことによる無力感の学習などが挙げられます。
この学習性無力感の症状はうつ病の症状に類似しているので、場合によっては専門的な治療が必要かもしれません。
もしかしたら複数の原因が絡み合っているかも。
自分がどういった原因によって生きるのがめんどくさくなっているのか。まずはこれを把握することが、今の状態を抜け出す第一歩になります。
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第2章:生きるのがめんどくさいのは人生が「一切皆苦」だから
さてさて、6つの原因を見てきましたが、そもそもの前提として「人生=思い通りにならない苦しいもの」という考え方も知っておくことが大切です。
この考え方を紐解くキーワードは「仏教」です。
仏教では、「一切皆苦」「四苦八苦」といった考え方が基本にあります。
「一切皆苦」とは、仏教で語られるこの世の真理の1つで、「人生は思い通りにならないもの」という意味があります。
仏教の開祖・ブッダは約2500年も前にこの真理を悟っていたんですね。いや凄い…。
僕らがよく知っている「四苦八苦」も実は、仏教に由来します。
仏教における「四苦八苦」は、
・生まれる苦
・老いていく苦
・病気による苦
・死への恐怖や不安による苦
この4つの苦しみを基本とし、
・愛する者と離れる苦しみ
・恨み憎んでいる者に会う苦しみ
・求めるものが得られない苦しみ
・人間の肉体と精神が思い通りにならない苦しみ
この4つを加えて、四苦八苦と呼んでいます。
「一切皆苦」にしても「四苦八苦」にしても、仏教で言っているのは、「人生はそもそも思い通りにならないのが当たり前だから、そりゃあ苦しいことも多いよね」ってこと。
ただし、仏教はなにも悲観的な考え方を広めているわけではありません。
この世の真理として「人生は思い通りにならないものだ」という事実を受け止めた上で、自分の心が生み出す「思い通りにしたい!自分の思うがままになって欲しい!思い通りにならなくてムカつく!」って煩悩を消し去ること。
そして、あらゆる物事に一喜一憂しない安定した心の状態に自分をもっていくこと。
これが約2500年もの間、仏教が人々に示し続けている「答え」です。
こういった仏教の考え方は、僕みたいに仏教徒じゃない一般人にも効果的な考え方だと思います。
自分の内面に関してはまだコントロールが可能ですけど、社会や人生は色んな人の影響によって動いていますから、どうしてもコントロール不可能なことの方が多いんですよね。
自分でコントロール不可能なことを「思い通りにしたい!」って考えても、それは自分が辛くなるだけですから。
その上で「自分の心が生み出す思考や感情にどう対処していくか?」に考えを切り替えるのが大切ですね。
第3章:生きるのがめんどくさいを解消する3つの方法【人生に価値を取り戻す】
生きるのがめんどくさいを解消する3つの方法としておすすめなのが以下の3つです。
・心身を休ませる
・思考や感情をうまく扱う術を身につける
・自分の人生の価値を考えてみる
方法①:心身を休ませる
生きるのがめんどくさいのは、心身が消耗して疲れ切っているのも原因の1つです。
なのでまず、徹底的に心身を休ませてあげるのが効果的な方法になります。
基本的には、体に良いものを食べて定期的に運動し、しっかり睡眠をとること。この当たり前をおろそかにせずきっちりやるのがベストですね。
僕は何年か前に、仕事のストレスでメンタルを病んだ時期があるんですけど、生活習慣もかなり酷かったんですよね。
朝食抜いて、昼はカップ麺に激甘ジュース。夜は外食。タバコの煙が多い環境。睡眠は不規則。運動もほとんどしない。
この時期はブクブク太ってましたし、頭もうまく働きませんでした。
生活習慣を見直して体型もスッキリ。
心の方もポジティブになりました。
もしあなたも心身に疲れを感じているなら、もうこれ以上がんばる必要はありません。
生きるのがめんどくさいと感じるのは、自分の体からの「いつもがんばってるから、そろそろ休もう?」というメッセージです。
まずは休みましょう。
積極的に休む方法としては、以下の方法を参考にどうぞ。
- 最低でも6時間は睡眠をとる、できれば7~8時間くらいは睡眠時間を確保したい
- スキマ時間に目を閉じて休む
- 昼寝する
- 休憩時間はできるだけスマホを触らない
- 歩く時間を増やして運動不足を解消する
- 健康的な食事を心がけて体調を整える
- 好きな趣味に没頭する
- マインドフルネス、瞑想、深呼吸を生活に取り入れる
- ストレス要因から距離を置く(心理的にも)
参考本として、以下の2冊もおすすめです。
方法②:思考や感情をうまく扱う術を身につける
第2章でもお話しした通り、思考や感情をうまく扱えるかどうかはとても重要なスキルです。
生きづらさを軽減できるか、生きづらさに苦しみ続けるかはこのスキルによって変わってきます。
で、思考や感情をうまく扱う術を身につけるために何をすればいいのかというと、ACTと呼ばれる心理療法をセルフケアとして取り入れてみるのが1つ良い方法になります。
「ACT(アクト)」とは、アクセプタンス&コミットメント・セラピーの略で、アメリカの心理学者によって開発された心理療法です。
ACT自体はかなり凄い療法らしく、うつや不安神経症、慢性の痛み、統合失調症、麻薬中毒、職場でのストレス軽減など、様々な問題に対して効果を発揮。科学研究に基づく確かな療法として世界中で広まりつつあるそう4。
もちろん心理療法なので、専門家から本格的なやり方でACTを施してもらうのがベターですが、以下の書籍を参考にセルフケアとして取り入れることはできます。
ACTでは、6つの行動原則をベースにして心理的な柔軟性を高め、苦痛をもたらす思考や感情にうまく対処し、人生を意味あるものにするための行動をもっとできるようにすることを目的としています。
その6つの行動原則がこちら。
- 脱フュージョン
思考と現実を切り離す。 - 拡張
不快な感情を否定せず、あえて受け入れる。そうした感情に心のスペースを作ってあげる。 - 「今ここ」との接続
今この瞬間、この場所で起こっていることに集中する。過去や未来ではなく、現在と繋がる。 - 自己を観察する
自分の思考や感情を観察する。 - 価値の確認
自分が価値をおくもの(価値観)を明確にして、その価値観と繋がることで人生を意味あるものにする。 - 目標に向かって行動する
意味ある人生を築く。
とはいえ、この6つの行動原則をガッツリ掘り下げると本1冊分くらい必要になるので、詳細は『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』をご一読くださいませ。
ACTのポイントは、自分の内側にある思考や感情に気づき、それを否定も肯定もせず、ただ客観的に捉えること。
そして、自分を責める思考や感情は心が作り出した幻想にすぎないと一歩引いて見ること。これがまず重要だと思います。
こういった思考や感情の扱い方ができるようになると、色んな物事に対して客観的で柔軟な捉え方ができるようになってくるんですね。
この客観的で柔軟なものの見方ができると、「生きるのがめんどくさい」に頭の中が支配されて苦しむのではなく、違った考え方ができるようになると思います。
例えば、、、
・この状態から抜け出す良い方法はないか?
・ある特定の状況になると「生きるのがめんどくさい」って感じるな
・意外と「生きるのがめんどくさい」って感じないときもあるな
・そういえば自分にとっての「生きがい」ってなんだろ?
・よくよく考えてみると最近すごくストレスが多いな。そのせいで生きるのがめんどくさい状態になってるのかも?
・生きるのがめんどくさいって感じてるけど、よく考えると衣食住が整ってて普通に暮らせてるだけでも十分幸せだよな
などなど、色んな視点から考えられるようになります。こうやって柔軟に考えられる時点で、すでに「生きるのがめんどくさい」沼から片足は抜け出してますね。
あとはACTの6原則をさらに学んでいくとかなり改善していくんじゃないかなーと思います。
方法③:人生の価値を考えてみる
今お話ししたACTの6原則にも出てきましたが、「価値観」を明確にしてその価値観に沿った意味のある人生を自分の手で築いていくってアプローチも1つ効果的だと思います。
そもそも「価値観」って何かというと、心の奥深くにある強い欲望や、人生を通して原動力になっているもの、これさえあれば人生や世界は生きるに値するものになると感じるもののことです。
価値観は、「目標」のように到達すれば終わりってものではなく、常に自分の中に存在するもの、存在していて欲しいものですね。
例えば、「素敵な恋人を作る」は目標ですが、「素敵な恋人と仲良く楽しく過ごす」は価値観です。
この価値観があるかどうかによって、人生そのものに対する感じ方が全く変わってきます。
先ほどご紹介した『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』の著者で医師・心理療法士のラス・ハリスさんも、「価値は世界を生きるに値するものに変える」と語っています5。
一度以下の質問の答えを考えてみてください。
上記の質問を少し言い換えて、「仕事では何に価値を置いているか?」とか「人間関係では何に価値を置いているか?」とか考えてみるのもアリです。
人生の中で恋愛に大きな価値を感じる人、プロとして仕事をすることに価値を大きく感じる人、家族と穏やかに楽しく暮らすことに価値を感じる人…。人それぞれだと思います。
1番大切なのは、他人の価値観に左右されずに、「自分が何に大きな価値を感じるのか?」を知ることです。
自分が最も価値を感じる何かが見つかれば、その価値に沿って生きること自体が生きがいになりますし、価値のある人生を実現することが生きる目的になります。
定期的に見直すのがおすすめです。
【まとめ】生きるのがめんどくさい人はまずこれをやろう
ほんっとに人生って思い通りにならないし、めんどくさいことも多いです。もう死にたいって思うこともあるかもしれません。
でも、生きるのがめんどくさくなる原因を知って、人生に価値を取り戻すための方法を使っていけば、きっと今よりも心がラクになると思います。
・心身を休ませる
・感情や思考をうまく扱う術を身につける
・人生の価値を考えてみる
参考文献
- 鈴木祐.”第2章 炎症と不安”.『最高の体調』.クロスメディア・パブリッシング, 2018, p.52-p.53.
- 加藤俊徳.”第1章 脳はもともとめんどくさがり”.『「めんどくさい」がなくなる脳』.SBクリエイティブ株式会社,2017, p.18-p28.
- 叶 少瑜.”大学生のTwitter使用,社会的比較と友人関係満足度との関係”.『社会情報学』.2019年 8巻 2 号 p.111-p.124
- Harris, Russ.”まえがき 私は幸福になりたい!”.『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』.岩下慶一(訳).筑摩書房, 2015, p.10.
- Harris, Russ.”第24章 心の奥底で望んでいること――価値”.『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』.岩下慶一(訳).筑摩書房, 2015, p.206-p.207.